テキスト「確率と統計」のページ |
本ページの目次 お知らせ (2023/6/1)基本情報 正誤表 目次 まえがき (本体とほぼ同じです) 本書のねらい (まえがきに追加分) お礼 (まえがきに追加分) 講義テキストとしての本書の使い方 参考文献 (本体のあとがきみたいなのとほぼ同じ) テキストとして採用して頂いたところ (2023/6/1) |
お知らせ 第13刷になりました. (2023/6/1)数学セミナー(2015年4月号)において「大学生に薦める数学の教科書」の「統計学が苦手な学生のために」で取り上げられました. ウェブ上で色んな感想を見ましたが,この感想が短いけど的を得ているなと思っています.「薄いのに見通しよくしてくれてますし、腹を割って書いてくれていると思う厨。」 ここ |
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基本情報 タイトル: 確率と統計著者: 藤澤 洋徳 シリーズ名: 現代基礎数学シリーズ13 出版社: 朝倉書店 (2006/12) この本のページ (立ち読みできます.全部で22ページもあります.) 定価: 3,465円(税込) 総ページ数: 224ページ. |
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正誤表 p.41. 誤: (∞,x]. 正: (-∞,x]. 本文中に三か所あります.(西山陽一先生,ありがとうございます.)p.143 [B10.8]. 誤: 自由度 (n,m). 正: 自由度 (n-1,m-1).
p.148 p値の定義: 定義式の後に以下の但し書きが抜けています. p.37 誤: Cauchy-Schwartz's inequality. 正: Cauchy-Schwarz inequality. (本田敏雄先生,ありがとうございます.) p.74 [A4.5] 誤: $\sum_{r-k}^n$. 正: $\sum_{r=k}^n$. (2016/5/27) p.109 誤: $\bar{X}=\sum_{i=1} X_i/n$.$\bar{Y}=\sum_{i=1} Y_i/n$.正: $\bar{X}=\sum_{i=1}^n X_i/n$.$\bar{Y}=\sum_{i=1}^n Y_i/n$. (2016/5/27) |
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目次 1. 確率と確率空間1.1. 標本空間と事象 1.2. 確率の定義 1.3. 確率の性質 1.4. 条件付確率 1.5. 独立性 1.6. ベイズの定理 1.7. 例 1.7.1. くじを引く順番で当たる確率が違うのか 1.7.2. システム全体の故障確率 1.7.3. この検査は信頼できるのか 1.8. 確率空間** 2. 確率変数と確率分布 2.1. 確率変数と確率分布 2.2. 期待値と平均と分散 2.3. 多次元確率変数と同時確率分布と周辺確率分布 2.4. 多次元確率変数の特性値 2.5. 確率変数の独立性 2.6. 確率変数の和の平均と分散 2.7. 確率変数の条件付確率分布 2.8. 確率とモーメントに関連した不等式 2.9. 確率変数と確率分布と確率空間** 3. いろいろな確率分布 3.1. 離散型確率分布 3.1.1. 一様分布 3.1.2. ベルヌーイ分布 3.1.3. 二項分布 3.1.4. ポアソン分布 3.2. 連続型確率分布 3.2.1. 一様分布 3.2.2. 指数分布 3.2.3. 正規分布 3.2.4. ガンマ分布 3.2.5. カイ二乗分布とt分布 3.3. 多次元確率分布 3.3.1. 多項分布 3.3.2. 多次元正規分布 3.4. 確率分布の平均と分散 3.4.1. 一様分布 3.4.2. 二項分布 3.4.3. 正規分布 3.4.4. ガンマ分布 3.5. 多次元正規分布の性質 3.5.1. 周辺確率分布 3.5.2. 平均と共分散 3.5.3. 密度関数のグラフ 3.5.4. 独立性と条件付確率分布 3.6. モーメント母関数 4. 確率変数の変数変換 4.1. 線形変換された確率変数の確率分布 4.2. 独立な確率変数の和の確率分布 4.2.1. 密度関数に基づいた和の確率分布の導出 4.2.2. モーメント母関数に基づいた和の確率分布の導出 4.3. 確率変数の最大値と最小値の確率分布* 4.4. 変数変換された連続型確率変数の確率分布** 4.4.1. 密度関数の変数変換公式** 4.4.2. t分布の密度関数の導出** 5. 大数の法則と中心極限定理 5.1. 確率収束と分布収束 5.2. 大数の法則 5.3. 中心極限定理 5.4. 発展* 6. 乱数とシミュレーション* 6.1. 乱数* 6.2. モンテカルロ積分* 6.3. シミュレーション* 6.3.1. 生態系* 6.3.2. 正規近似の妥当性* 7. 標本と統計的推測 7.1. 標本とパラメータ 7.2. 統計的推測 7.3. 標本平均と標本分散 7.4. 標準化とスチューデント化 8. 点推定 8.1. 推定量 8.2. 推定量の作り方 8.3. 推定量の良さ 8.4. 最尤推定 8.4.1. 尤度 8.4.2. 最尤推定の定義 8.4.3. 最尤推定の例 8.4.4. 最尤推定量の漸近的性質 8.5. 例 8.5.1. 職場環境の満足度を調べる 8.5.2. どちらの面積推定が優れているのか 8.5.3. 隠れた因子の相対頻度を推定する 9. 点推定(発展)** 9.1. 指数型分布族** 9.2. 十分統計量** 9.2.1. 十分統計量の定義** 9.2.2. 分解定理** 9.2.3. ラオ・ブラックウェルの定理** 9.2.4. 完備十分統計量に関連した話題** 9.3. 有効推定** 9.3.1. クラメール・ラオの不等式と有効性** 9.3.2. クラメール・ラオの不等式の証明** 9.3.3. 指数型分布族と有効推定** 9.4. カルバック・ライブラーのダイバージェンス** 9.5. 最尤推定量の漸近的性質** 9.5.1. 密度関数が指数型のとき** 9.5.2. 密度関数が一般のとき** 10. 区間推定 10.1. 平均パラメータの区間推定(分散が既知のとき) 10.2. 平均パラメータの区間推定(分散が未知のとき) 10.3. 平均パラメータの区間推定(正規性が仮定されてないとき) 10.4. 信頼水準の意図 10.5. 例: アンケート調査によって内閣支持率を考える 10.5.1. 基本的な考え方 10.5.2. 誤差を見積もる 10.5.3. 必要な標本数を見積もる 10.5.4. 現実と理論とのギャップ 10.6. 一般の区間推定 10.7. 二つの母集団の平均の差の区間推定 10.8. 分散パラメータの区間推定 11. 検定 11.1. 検定の基本的な考え方 11.2. 検定の具体的な作り方 11.3. p値 11.4. 例 11.4.1. 乳脂肪分表示を検証する 11.4.2. 実験を続けるべきかどうか 11.5. 帰無仮説と対立仮説 11.6. 検定の面白さと難しさ 11.7. 片側仮説 11.8. 二標本問題 11.9. 検定の良さ* 11.10. 最強力検定** 11.10.1. ネイマン・ピアソンの基本定理** 11.10.2. 一様最強力検定** 11.10.3. 一様最強力不偏検定** 11.10.4. 区間推定と検定** 12. いろいろな検定* 12.1. 適合度検定* 12.2. 独立性検定* 12.3. 分散分析* 12.4. 尤度比検定* 13. 線形回帰モデル 13.1. 線形回帰モデル 13.2. 推定 13.3. 推定量の性質 13.4. 区間推定と検定 13.5. 例 13.6. 説明変数が複数の場合* 13.7. 射影* 13.8. 推定と区間推定と検定(再び)* 13.9. モデル適合度とモデル選択** 13.10. 発展* 14. 発展など* 14.1. 確率過程* 14.2. ベイズ推定* 14.3. 統計ソフト* 14.4. ブートストラップ* 14.5. パラメータの多次元化* 14.6. 多変量解析* |
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まえがき (本体とほぼ同じです) まずはメッセージ本書では「具体例を動機として確率と統計を少しずつ創っていく」という感覚でテキストを記述してみました.面白く楽しく躍動感を感じながら読んで頂ければと思います.
対象としている読者層 本書の使い方 本書の特徴 お礼 補足: その他にも様々な情報を著者のHPに置くことに致します. |
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本書のねらい (まえがきに追加分) 本の前書きには,しばしば,次のような文章があると思います: 「いままでの統計の本は,まずは記述統計を最初に書いて,しかる後に確率の話が出てきていたが,なんとかかんとか・・・.本書の他書との相違点は,なんとかかんとか・・・」本書では,ページ数の制約の問題もあったため,そういう部分を省きました.というのも,私個人が学生のときを思い起こすと,もともと確率や統計のことに詳しくないので,そんなこと書かれてもちんぷんかんぷんだったからです.そういう文章は,本書の主たる購入層になるであろう読者には,あんまり関係ないと思ったので,まえがきには,主たる購入層に合わせた文章を中心にして書きました. しかしながら,本書を講義で使われる先生方などは,上述のような本書のねらいも気になることと思います.そこで,本HPに,本書のねらいを,本体のまえがきに付け加える形で,より詳しく書いておこうと思います. 私が本書を書くにあたって意識した主な読者層は,広く言えば,まえがきに書いているように,初めて確率と統計を学ぶ理工系の2年生もしくは3年生程度です.より詳しく書けば,対象とするキーワードとして想定したのは,情報とか数理工学とか数学などです.確率と統計の数理は重視しつつ応用も意識してみました.*印の付いた節をどこまで扱うかという選択肢を作ることで,色んな学科などで使えるようにも意識しました. 本書の特徴の一つは「具体例を動機として確率と統計を少しずつ創っていく」という感覚でテキストを構成したことです.現実を意識した,本質的な数理的構造を創っていくことを最優先にして,小さな数学の穴は,とりあえずは目をつぶりつつ,話を進めました. たとえば,第一章では,確率空間については,最初は知らんぷりをしました.具体例から確率というものの数理的構造を少しずつ創っていきました.そして,話を厳密にしようとすると,必然的にある構造の必要性が意識され,それを必然性に合わせて構築していくと確率空間ができあがる,という流れにしています. 整理された内容を上から与えられるだけでなく,小さくてもいいから自らの動機でもって少しずつ開拓しながら思考していく,という「創る(創造する)」方向があると,何でも,身につきやすいし,やる気になりやすい,と思っています. 他書との比較で言えば,次のようなことを考えました.私が最も意識したテキストは「統計学入門,東京大学教養学部統計学教室編」です.大学1or2年生の教養として,このテキストを学ぶと,本当に理想的に思えます.そして,専門的な数理統計学としては,次の二冊を私は良く勧めます: 「現代数理統計学,竹村彰通著」「数理統計学の基礎,野田一雄・宮岡悦良著」.ただし,これらの本は,確率と統計を初めて学ぶ学生には,レベルが高すぎます.この間を繋ぐ,もしくは,専門レベルで確率と統計を初めて学ぶ2or3年生程度が楽しめるような,なおかつ,現実をも意識して,自然に確率と統計を創っていくことができる,そういうテキストを書こうと思いました. 確率と確率過程という意味では,意識している本が,前々からありました.それは「確率と確率過程,伏見正則著」です.この本には,統計の部分がないので,この本に統計の部分を入れて,確率過程の部分を除いて,さらにもう少し具体例を動機として書きたいな,と思っていました.この本はやはり良書らしく,講談社で1987年に出版され絶版になっていたのですが,少し前に朝倉書店から再出版されました. そして,本書を書いているうちに,ある本を見つけてしまいました.それは「確率・統計,薩摩順吉著」です.これは良い本だなと思いました.特に,自分で言うのも何ですが,確率の部分は,ページ数をたくさん費やしているということもありますが,私のテキストよりも読みやすいと思います.しかしながら,統計の部分は量がかなり少なく,将来的に統計をさらに勉強するという意味では,私のテキストの方が使いやすいように思えます.たとえば,「現代数理統計学,竹村彰通著」「数理統計学の基礎,野田一雄・宮岡悦良著」を読もうと思ったら,間にもう一冊必要になってしまいます. 目次などに関連した本書の特徴. 「例が豊富」 数学シリーズの本にしては,例が豊富だと思います.例のための例ではなくて,学んだことの面白さを意識できるような例を入れ込んで見ました.例には凝りました. 「1.8. 確率空間」 既に記述したので意図は省略します. 「3. いろいろな確率分布」 密度関数を見せて,例はこんなのがありますよ,ではなくて,具体的な例に合わせて記号や性質を整理していくと,そういう確率分布が自然に導出されるんですよ,という感じで記述することを,できるだけ試みました. 「6. 乱数とシミュレーション」 意外と統計の本にきちんと書かれていないので,入れてみました. 「9.4. KLダイバージェンス」 最尤推定量の一致性は,KLダイバージェンスを知っていれば,平均パラメータの推定として標本平均を考えると言う流れから,自然に理解することができる,ということを記述しました. 「9.5. 最尤推定量の漸近的性質」 最尤推定量の漸近分布の導出方法のコア部分を記述してみました. 「10.4. 信頼水準の意図」「11.6. 検定の面白さと難しさ」 信頼水準や有意水準の哲学的な話を,有限の標本から絶対の真理は言えないので現実とのトレードオフが必要,などという立場から記述してみました. 「14. 発展など」 統計ソフトやブートストラップなどの最近の話まで,軽く触れてみました.本書の次段階などを簡単に意識させてみました. |
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お礼 (まえがきに追加分) ページ数の制約もあったので,本体のまえがきでは,全ての方にお礼を言えませんでした.まえがきでお名前を挙げさせて頂いた方々以外でも,大学などの関係者で,ご相談したときに色々とコメントを頂いた以下の方々にも感謝を申し上げたいと思います.本当にどうもありがとうございました <(_ _)>青木敏先生,内田雅之先生,酒折文武先生,坂口隆之先生,田中秀和先生,鳥越規央先生,二宮嘉行先生,丸山祐造先生,吉田亮先生 (50音順)
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講義テキストとしての本書の使い方 教科書などとして講義で使われる場合のペース配分の例を以下に書きたいと思います.
通年(*印が一つまで) あとは適当に,*印二つを講義で行ったり,演習問題の面白そうに思える話題を余計に扱ったり,講義数が足りない場合には,テストを削ったり,単純な計算は省いたりすれば,いろんなパターンに合わせられるように思います. |
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参考文献 (本体のあとがきみたいなのとほぼ同じ) 本体では「さらに学びたい読者へ」という形で以下のような文章を書きました.さらに学びたい読者へ
本書の確率の部分が,いまひとつ心に染み込んでこなかったという読者には,次の本がお勧めです:
著者は統計学が専門です.統計学に関しては,もう少し本を紹介しておきたいと思います.たとえば「使う」ということを前提にして書いている本としては以下があります:
最後にもう少しだけ情報を加えておこうと思います.独特の言い回しで,確率と統計を面白く語っている,何とも言えない本があります: とにかく,まだまだ学んでみたいなと思ったら,本屋に行って,様々な本を眺めると良いと思います.本当に多くの本が待ち受けています. 本書を読んで,「確率と統計」は面白そうだな,まだまだ学びたいな,という読者が増えたならば,著者としては,これ以上の幸せはありません. 本書は数学シリーズなので,蛇足になると思って付け加えませんでしたが,文系の方で統計に使われる基本的な数学もある程度は抑えながら統計を勉強したい,という方には,次の本がお勧めです: 統計学,田中勝人,新世社 (1998). 上記のほかに参考にした文献も以下に挙げておきます: 統計数学, 柳川堯, 近代科学社 (1990). 数理統計学, 稲垣宣生, 裳華房 (1990). 入門・演習 数理統計, 野田一雄・宮岡悦良, 共立出版 (1990). 統計, 竹村彰通, 共立出版 (1997). 入門 経済のための統計学, 加納 悟・浅子和美, 日本評論社 (1998). 概説 確率統計, 前園宜彦, サイエンス社 (2000). 確率と統計, 木村俊一・古澄英男・鈴川晶夫, 朝倉書店 (2003). 数理統計学の基礎, 新納浩幸, 森北出版 (2004). 工学のためのデータサイエンス入門, 間瀬 茂・神保雅一・鎌倉稔成・金藤浩司, 数理工学社 (2004). 確率と統計, 渡辺澄夫・村田 昇, コロナ社 (2005). 高橋幸雄先生の講義ノート (東京工業大学 情報科学科 確率と統計・第一 1997年時点) |
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テキストとして採用して頂いたところ ありがとうございます <(_ _)> 教科書東京大学 経済学部 数理統計学 同志社大学 理工学部 確率・統計 岡山大学 環境理工学部 数理統計学I 京都大学 確率論基礎 (参考書の可能性もあり) 東京工業大学「GCOE 計算世界観の深化と展開」 数学速成コース 確率統計 広島大学 理学部 数学科 数理統計学グループ 日本大学 文理学部 数学科 数学講究1 静岡大学 情報学部 情報科学科 統計学入門 (参考書のクラスもあり) 東北大学 展開科目 数理統計学 電気通信大学 情報理工学域 I類 確率論 (2022/4/19)
参考書など 他にもご存じの方がおられましたら,ぜひ情報をお寄せ頂ければと思います. |
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